システム開発の歴史―過去と現在
システム開発の歴史は、まるで壮大な物語のようです。コンピューターの誕生から始まり、現在のクラウドコンピューティング、ビッグデータ、AIといった技術の波に至るまで、絶え間なく進化し続けています。
目次
初期のコンピューターの登場(1940、1950年代)
1940年代と1950年代には、初期のコンピューターが学術研究や軍事目的で使用されていました。巨大で扱いにくいこれらのマシンは、プログラミングに複雑な手順を必要としていました。現代コンピューター科学の礎を築いた当時の代表的なコンピューターにはENIACやUNIVAC Iがありました。
ENIAC
ペンシルベニア大学(米国)で1946年に開発されたものがENIAC(Electronic Numerical Integrator and Computer)です。汎用計算機として画期的でしたが、真空管を採用した構造で、規模が大きく多量の電力を必要としたのが特徴です。
UNIVAC I
商業用コンピューターとして1951年に登場したのがUNIVAC I(Universal Automatic Computer I)です。開発したのはエッカート・モークリー・コンピュータ社(米国)です。テープドライブを採用し、それまでのコンピューターの処理能力を大幅に上回る性能を発揮しました。科学技術や軍事用途で活用されていたコンピューターでしたが、商業用の登場により、民間のなかにも広まっていきました。
プログラミング言語の登場(1960年代)
1960年代に入ると、ソフトウェアの価値が認識され、最初のプログラミング言語が出現しました。FORTRANやCOBOL、ALGOL、BASICといった言語が登場し、より多くの人々がコンピューターを使う道を開きました。1960年代は現在のコンピューター科学の礎となった、さまざまなプログラミングの手法や技術が発展した時期です。コンピューター科学の歴史において重要な時期といえるでしょう。
パーソナルコンピューターの普及(1970年代後半、1980年代)
1970年代後半から1980年代にかけて、パーソナルコンピューターが我々の生活に浸透し始め、Apple、IBM、Microsoftといった企業が市場に参入。コンピューターは家庭やビジネスの必需品となりました。
特にAppleのApple Ⅱは画期的で、それまでになかったコンピューターの機能をユーザー自ら拡張できる仕様がさまざまなシーンで利用されるきっかけとなりました。
この時期はパーソナルコンピューターの普及とともに、さまざまなプログラミング言語が普及した時期でもあります。C言語が広く利用され、C++が登場したのもこの時期です。
インターネットとウェブの登場(1990年代)
1990年代にはインターネットとウェブが登場し、情報通信技術が発展した時期です。情報通信技術の発展はシステム開発に革命をもたらしました。ウェブブラウザが普及し、情報の共有とアクセスが格段に容易になり、ITの使い方を根本から変えたのです。
インターネットとウェブの普及により、さまざまな情報へのアクセスが容易になることで、システム開発者の技術や知識に広がりと深まりがもたらされました。また、開発者同士のコミュニ―ションにも役立ち、多くの技術の発展につながったのです。
クラウドコンピューティングの概念が生まれたのもこの時期です。インターネットとウェブの発展がリソースをオンライン上で共有・利用することにつながり、2000年代の発展の足掛かりとなりました。
オープンソースソフトウェアとクラウドコンピューティングの登場(2000年代)
2000年代にはオープンソースソフトウェアとクラウドコンピューティングが登場し、LinuxやApacheのようなプロジェクトが広まり、Amazon Web Servicesのようなクラウドサービスが誕生しました。それぞれシステム開発の歴史に、どのような影響を与えたのでしょうか。
オープンソースソフトウェア
LinuxやApacheといったオープンソースソフトウェアのプロジェクトは開発者たちが共同で開発する環境となりました。共同作業には世界中の技術者が参加することで、それまでになかったスピードでの開発を可能としたのです。
オープンソースソフトウェアはその特徴上、イノベーションの加速に貢献します。開発者たちはソースコードを再利用することができるので、ライセンスコストの削減、リソースの効率利用といったメリットを享受することができました。
これらの要素はさまざまな新しい技術の発展に大きな影響を与えました。
クラウドコンピューティング
システム開発では、リソースの効率的な管理が重要な一つのポイントです。Amazon Web Servicesといったクラウドコンピューティングはクラウドベースのインフラを提供し、必要なときに必要なだけリソースを利用することを可能にしました。
クラウドベースのインフラは高可用性、低遅延の環境構築にも貢献します。グローバルに分散したデータセンターが緊密に連携を取り、システムのダウンタイムの減少につながりました。また、大規模なデータのバックアップ環境が構築されていきました。
クラウドコンピューティングはデータの効率的な運用に大きな影響を与えたのです。
スマートフォンの普及(2010年代)
2010年代には、スマートフォンの爆発的な普及に伴い、モバイルアプリの開発が重要視されるようになりました。同時にアジャイル開発手法が広まり、開発プロセスはさらに迅速かつ柔軟になり、市場のニーズに素早く応えることができるようになりました。
モバイルアプリの開発
2つのプラットフォームが出現します。iOSとAndroidです。これらのプラットフォームが主流になったため、開発者たちにはこの2大プラットフォーム向けにアプリを開発する必要性が生じました。
アジャイル開発
アジャイル開発手法では、機能や改良を短期間のなかで反復させシステムを完成させていきます。変化の速い時代、顧客の要望や刻々と変化する市場の要求に応えるために、最適な開発手法だったのです。
AI、ビッグデータの時代(2020年代)
2020年代に入り、AIとビッグデータが主導する新たな時代に突入しています。機械学習、データサイエンス、自動化技術が開発の中心に位置し、これらの技術はシステム開発をさらにスマートで効率的なものへと進化させています。
まとめ
システム開発の歴史を知り、これからの時代の発展へ進もう
この物語は、過去の技術が現在の発展にどのように貢献してきたかを示す、重要な知識の宝庫です。歴史から学ぶことで、これからのイノベーションに向けたヒントを見いだし、システム開発の未来を描くための礎となるでしょう。これからも技術の進化は止まることなく、私たちの生活や仕事を変えていくに違いありません。
参考:
Wikipedia ENIAC
https://ja.wikipedia.org/wiki/ENIAC
Wikipedia UNIVAC
https://ja.wikipedia.org/wiki/UNIVAC
Wikipedia UNIVAC I
https://ja.wikipedia.org/wiki/UNIVAC_I
株式会社インフラトップ DMM WEBCAMP プログラミング言語の歴史を誕生した順に徹底解説
https://web-camp.io/magazine/archives/20913
Wikipedia BASIC
https://ja.wikipedia.org/wiki/BASIC
Wikipedia Apple Ⅱ
https://ja.wikipedia.org/wiki/Apple_II
Wikipedia C++
https://ja.wikipedia.org/wiki/C%2B%2B
KDDI おさらい!Web制作史
https://www.cpi.ad.jp/25th/chronology/
Cloud Ace クラウド コンピューティングの歴史は?IoT の進展に不可欠な技術を徹底解説
https://cloud-ace.jp/column/detail205/