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【やさしく解説】MCPとRAGの違いとは?

今どきのAI活用を、ビジネスの現場でどう使い分けるか

はじめに:AI活用が広がるいま、企業に求められること

2022年末に登場したChatGPTをはじめ、生成AIの進化が目覚ましい今、企業でもAIを業務に取り入れる動きが急速に進んでいます。かつては「AI=専門家だけの技術」だったのが、今では営業、カスタマーサポート、人事、法務、マーケティングなどあらゆる部門での活用が現実的な選択肢となってきました。
しかし、AIをただ導入するだけでは期待した効果は得られません。「どのような課題に、どのようなAIを、どのような形で活用するか」をしっかり設計することが重要です。
その中で注目されているのが、「MCP(Model Context Protocol)」と「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」という2つのアプローチです。

•RAGは、質問に対し外部情報を検索してからAIが回答を生成する仕組み
•MCPは、AIがさまざまな外部ツールやデータソースと安全に接続・操作するための標準プロトコル

この2つは、AIが外部情報にアクセスする方法として異なるアプローチを取りつつも、組み合わせて活用することも可能です。
本コラムでは、専門用語をできるだけ使わずに、これら2つの仕組みをビジネスの現場でどう活用できるか、わかりやすく解説します。

RAG(検索拡張生成)とは?

■ 仕組みと役割 RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、AIが回答を生成する前に必要な情報を外部の文書やデータベースから検索し、その検索結果をもとに文章を作成する仕組みです。これは「検索→生成」という2段階プロセスで、次のような流れになります:
1.質問の意図をAIが理解する
2.社内文書やデータベースから関連情報を検索
3.見つけた情報をもとにAIが自然な文章で回答を生成

■ 主な用途
•社内マニュアルやFAQへの質問対応
•膨大なドキュメントからの情報抽出
•最新の情報に基づくサポートや業務対応

■ メリット
•回答に根拠がある(出典付きで説明可能)
•情報が古くなりにくい
•特定の業務や文脈に特化した応答が可能

■ デメリット
•検索対象文書の整備が必要
•誤った文書を参照すると誤答の可能性も

MCP(Model Context Protocol)とは?

■ 仕組みと役割 MCPは、Anthropic社が開発したプロトコルで、AIアシスタントが安全かつ制御された方法で外部のツール、データソース、アプリケーションなどと連携するための枠組みです。
MCPの特徴は、単なる情報検索にとどまらず、次のような外部操作が可能な点です:
•ファイルの読み込みや書き込み
•APIを呼び出してシステムと連携
•リアルタイムでデータベースを操作

■ 主な用途
•複数の業務システムとの自動連携
•リアルタイムなデータ取得と処理
•外部アプリケーションを使った複雑なワークフローの自動化

■ メリット
•幅広いツールとつながる柔軟性
•データ操作やシステム制御がAIから実行可能
•セキュアに統合・運用できる仕組み

■ デメリット
•導入にある程度の設計・権限管理が必要
•システムごとの連携設定が必要

RAGとMCPの違いと関係性

観点RAG(検索拡張生成)MCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)
主な目的情報検索+回答生成外部ツールやデータソースとの安全な連携
仕組み「検索→生成」の2段階処理AIと外部システムがプロトコルを通じて双方向通信
得意分野文書検索型の質問応答、ナレッジベース活用ツール連携、自動化、リアルタイム操作
導入難易度文書の整備とRAGエンジンの構築外部ツール連携・権限設計が必要
関係性知識ベースの中核技術プロトコル内でRAGを組み込むことも可能

■ 補完的な関係性 MCPの枠組みの中で、RAGを機能の一部として組み込むこともできます。たとえば、MCPがAIに「文書検索→回答生成」という操作をRAGで行わせ、その結果をもとにさらにAPIを呼び出す、といった一連の処理を一体化できます。


ビジネス活用の具体例

■ 情報システム部門での問い合わせ対応 MCPを導入することで、メール・チャット・電話など複数のチャネルからの問い合わせを一元管理し、自動で適切な部署に振り分けることが可能になります。RAGを組み合わせれば、過去のマニュアルやドキュメントを検索し、AIが質問に即答することもできます。

■ 営業部門での提案書作成支援 営業担当が提案書を作る際、RAGを活用して過去の案件やテンプレートから最適な事例を抽出し、要点をまとめたドラフトをAIが提示します。MCP経由でCRMやファイルサーバーと連携すれば、顧客情報や過去の履歴も組み込んだ提案が可能になります。

■ 法務部門での契約書レビュー MCPを通じて契約管理システムから対象文書を取得し、RAGを使って該当条項の抜き出しと要約をAIが実施。担当者は効率よくリスク箇所を確認できます。

導入ステップと事例ストーリー

■ 導入の進め方
1.現場の課題を洗い出す(例:問い合わせ対応が煩雑)
2.既存の文書・ツールを整理し、AIに渡す情報基盤を整備
3.最初はRAGだけ、またはMCPによる自動振り分けのみで小さく始める
4.効果を確認しながら、徐々に連携範囲を広げる

■ 導入事例:中堅企業の社内ヘルプデスク 社員数500名ほどの中堅企業では、情シス部門が日々の問い合わせ対応に追われていました。まずMCPを活用して、問い合わせチャネルを集約し、自動でカテゴリ分類を実装。その後、社内ナレッジベースを整理し、RAGでよくある質問への自動応答を追加。
導入3か月後には、問い合わせ件数のうち40%がAIによって即時解決され、残りの60%も前処理が済んだ状態で人に届くため、対応時間が半減しました。

中小企業でも実現できる「スモールスタート」

「AIは大企業の話」と思われがちですが、近年では中小企業でも手が届く価格帯・設計で提供されるサービスが増えています。たとえば:
•RAG:NotionやGoogle Driveに格納された文書からの検索応答AI
•MCP:SaaSツールやクラウドストレージと接続する自動化ツール(ZapierやMakeなど)

これらを使えば、初期投資を抑えながらも段階的に業務をAI化することが可能です。

今後の展望とリスクへの対応

■ AI活用の進化 今後はRAGやMCPがさらに洗練され、意思決定支援や業務自動化の中核として位置づけられると予想されます。MCPでつながるツール群が増えれば、AIが実際に操作する範囲も拡大し、より人間に近い業務遂行が可能になるでしょう。

■ リスクと対策
•情報漏洩リスク:MCP経由で接続するシステムへのアクセス制御が重要
•回答の正確性:RAGによる誤回答を防ぐため、参照元の整備が必須
•ガバナンス:どの情報をAIに扱わせるか、社内ガイドラインの整備が不可欠

AIは便利である一方、誤用によるトラブルも起こり得ます。正確な知識と段階的な導入によって、リスクを最小限に抑えましょう。

まとめ:RAGとMCPの正しい理解が、AI活用の第一歩

•RAGは「AIが情報を調べてから回答する」技術
•MCPは「AIが外部ツールと連携して操作もできる」枠組み
•両者は併用可能で、組み合わせることで業務の自動化・高度化が実現

中小企業でもスモールスタートから始めれば、十分に現実的な導入が可能です。AIを単なる話題の技術ではなく、実務に役立つ「業務の相棒」として活用するために、まずはこの2つの技術を理解することから始めましょう。

ナレッジコンシェルジュ(AIチャットボット)

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