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クオリティアッププロジェクト(第2回)

はじめに

今回のテーマ設定について

前回は、クオリティアッププロジェクトの立ち上げ背景や、全社で取り組む品質改善の仕組みについてご紹介しました。品質は目に見えにくく、時にはお客様の声として初めて表面化することがあります。そのため、課題が顕在化する前に兆候をとらえ、未然に対応することの重要性について触れました。

第2回となる今回は、これまでの活動を通じて進展してきた具体的な取り組みや、現場における実践事例に焦点を当てます。品質改善は一度の施策で完結するものではなく、日常の中での小さな工夫や気づきの積み重ねによってこそ継続的に成果が得られるものです。こうした積み重ねが組織全体に広がることで、品質への意識が文化として根付いていきます。

本稿では、データを活用した改善活動の深化、振り返り会の質向上、人材育成を通じた意識改革など、プロジェクトが目指す「持続可能な品質向上」の姿を具体的にご紹介します。単なる事例紹介にとどまらず、その背景や得られた効果、今後に向けた課題も含めて整理しましたので、本ページをご覧いただいている方にとって、業務や考え方の参考になれば幸いです。

具体的な実践事例の紹介

◇データ分析を活用した「見える化」の進展

第1回でもご紹介したように、振り返りの結果や運用資料をもとにした品質傾向の分析は、重要な取り組みのひとつです。現在では、こうした活動をさらに発展させ、データをより精緻に可視化する取り組みが進んでいます。これにより、「要件定義の曖昧さ」や「進捗管理の不足」といった共通課題が一層明確になり、改善点を具体的に把握できるようになりました。

特に、客観的な数値に基づいた分析は主観的な議論を減らし、関係者全員が納得感を持って改善に取り組める環境を生み出しました。その結果、改善活動の実行力が増し、全社的な品質意識の共有にもつながっています。

◇振り返り会の質の向上

プロジェクトの振り返り会には、クオリティアッププロジェクトのメンバーが第三者として参画する取り組みを継続しています。こうした外部的な視点が加わることで、議論がより深まり、具体性のある改善策が生まれるケースが増えています。

さらに、営業部門のメンバーも参加することで、お客様との接点で得られた情報や期待が議論に反映されるようになりました。開発・運用の視点だけでは見落とされがちな要素が共有され、改善内容がより実践的で有効なものへと高められています。その結果、振り返り会そのものの質が向上し、プロジェクトチームにとって有益な学びの場として機能しつつあります。

◇小さな改善が大きな成果へ

一見すると些細な工夫でも、積み重ねによって大きな成果につながる事例も生まれています。そのひとつが、議事録作成や資料確認に議事録作成ツールを取り入れた取り組みです。これは従来の「品質チェック」の工夫を発展させたものであり、導入当初は一部チームでの試行にとどまっていましたが、継続的に運用することで記録の精度や透明性が向上しました。結果として、メンバー間での認識の齟齬が減少し、業務の効率化にも寄与しています。

このように、小さな改善を積み重ねることが、組織全体の品質文化を醸成する重要な一歩となっています。

人材育成と意識改革

品質向上の取り組みを持続的に進めていくためには、仕組みやツールの整備に加えて、そこで働く人材の成長と意識改革が欠かせません。クオリティアッププロジェクトでは、メンバー一人ひとりが主体的に学び合い、改善に取り組む姿勢を育むことを重視しています。

具体的には、プロジェクトに参画するメンバーが各現場での気づきや経験を共有することで、部門を越えた知見の蓄積が進んでいます。また、改善活動を通じて得られた学びを他のメンバーに伝えることで、知識の循環が生まれています。こうした「ナレッジの共有」は、個人のスキルアップにとどまらず、組織全体の品質意識を底上げする効果をもたらしています。

一方で、改善提案に関わる動きはまだ広がり切っていないのが現状です。特に若手層においては、品質に対する意識や姿勢が定着途上であり、十分に浸透しているとは言えません。そのため現在は、従来から定めている品質に関する運用ルールの遵守を徹底し、確実に実行できるよう仕組みを強化することで、一定の水準を維持する取り組みを進めています。

まずは「品質を保つ」という共通認識を全員に根付かせることが重要です。その基盤の上に、徐々に自ら気づきを発信し、改善に結びつけていく姿勢を育んでいくことが、組織全体の成熟度を高める次のステップとなります。将来的には、改善活動そのものが自然と日常業務に組み込まれ、誰もが主体的に品質向上へ取り組む姿勢が当たり前となることを目指しています。

課題と今後の方向性

クオリティアッププロジェクトの活動を進める中で、一定の成果が見られる一方、今後に向けて取り組むべき課題も明らかになってきました。そのひとつが、品質に対する意識の定着度のばらつきです。特に若手層においては、改善提案や主体的な関与がまだ十分に広がっておらず、現時点ではルールの徹底に依存している側面があります。こうした状況を踏まえ、意識面の底上げと自律的な行動を促す仕組みづくりが重要となります。

また、これまでの活動で収集したデータや知見を、より効果的に現場へ還元していくことも課題のひとつです。改善のサイクルを加速させるためには、分析や振り返りを単なる報告にとどめず、日常業務の改善に直結させる工夫が求められます。さらに、成果を評価する仕組みや、改善の取り組みが組織全体に広がるための仕掛けも、今後整備していく必要があります。

今後は、これらの課題を踏まえ、次の方向性に重点を置いて活動を進めていきます。

– 品質意識のさらなる浸透
  若手を含む全メンバーに対し、「品質を保つ」意識を基盤としつつ、改善の主体者として参画できる環境を整備する。

– 改善活動のスピードアップ
  第1回で掲げたPDCAサイクルをさらに加速させ、データ分析や振り返りの仕組みを強化し、改善サイクルを短期間で回せるよう工夫する。

– 学びと知見の共有拡大
  個々の経験や小さな成功事例を積極的に共有し、組織全体で活かせるナレッジとして蓄積する。

これらを実現していくことで、プロジェクトは単なる施策にとどまらず、組織全体の文化として根付いていきます。クオリティアッププロジェクトは、今後も一歩ずつ改善を積み重ねながら、お客様に信頼いただけるシステム・サービスの提供に向けて取り組んでまいります。

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